栄光なき凱旋

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映画とか本とか漫画とかで戦争モノは苦手な私。

避けていた私。

読みたい本がなく、容易くお姉さんの本棚から選んでしまいましたが

あまりにも内容が重たくてページが進まず、読み終わるまで本当に時間が掛かりました。

何度読むのを止めようと思ったか。

でも止めてはいけない。と、どうにか完読。

あーだ、こーだ感想を述べるつもりはありませんが少しだけ。

この作品は3人の日系アメリカ人(2世)がアメリカ人として日本を相手に太平洋戦争に出陣する話。

血は日本人だけど、人格はアメリカ人。

戦争を軸に青年達の心の葛藤や、当時の排日的アメリカ社会や文化、

日系人の収容所生活、不遇な扱い、劣悪な戦地任務などが詳細に描かれています。

この作品を読んでおよそ10年前にシアトルにホームスティした際

日系人が大勢いる老人ホームを慰問した時のことをふいに思い出しました。

姿、形、どこから見ても日本人のおじいちゃんおばあちゃんなのに

日本語が話せないということに10代の私は純粋に不思議に思ってしまいました。

日本人なのにどうして?と。

当時の私は無知すぎました・・・・。

今ならもう少し、”日系アメリカ人”ということが理解できてます。

”移民”という言葉を知っています。

私達が帰る時におじいちゃんが大粒の涙をこぼしていました。

つたない英語でたいした話も、コミュニケーションもできなかったのにあの涙は何だったんだろう・・・・。

日本人が慰問に来て、嬉しかったのかな。懐かしかったのかな。悲しかったのかな。

今ならいろんな話をしたいし、聞きたいのに・・・。




作品中、ハワイ、アメリカ西海岸、マダガスカルセブ島、沖縄etc・・・・

あらゆる地が舞台となり出てきます。

私、もうこの当時の戦地には足を運べないかも。と思ったけど

最後、少し救われるカタチで幕が閉じているから、やっぱりハワイには現実を見に

いずれ足を運んだほうがいいのかなぁ。という思いで読み終わりました。

戦争という事実をなかったものにはできないから。

過去に目をつぶることなく、未来に同じ過ちを繰り返さないように。